2024年度の太陽光発電に関するFIT(固定価格買取制度)は、制度の移行期にあたる重要なタイミングです。2026年度からのFIP制度への本格移行を前に、2024年には複数の制度改正が行われており、導入を検討する事業者・家庭にとっては慎重な判断が求められます。
主な変更点(2024年)
1. FIT価格の引き下げ
- 住宅用(10kW未満):16円/kWh(10年間固定)
- 事業用(10kW以上):
- 屋根設置型:11.5円/kWh
- 地上設置型:10円/kWh
※ 価格は資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会による決定
2. FIT認定に関する新要件
- 説明会の義務化:大規模設備や地域に影響を与える可能性がある事業は、認定申請の3ヶ月前までに住民説明会の開催が必要
- 事前周知措置:小規模設備でもポスティングや戸別訪問による周知が義務化
- 重要事項変更時の再説明会:認定取得後でも設備変更等がある場合は再度説明会が必要
3. 違反時の交付金停止措置
- 積立命令制度:法令違反や認定基準違反があった場合、売電収入の一部が一時停止され、広域機関に積み立てられる
- 返還命令制度:違反が解消されない場合、積立金の返還義務が発生
4. パネル増設・更新時の価格適用ルール
- 既設設備の価格は維持されるが、増設・更新部分には新価格が適用される
- 認定変更申請時に、既設と増設部分を明確に区分して申請する必要あり
導入時の留意点
- 制度変更のタイミング:2025年10月以降は「初期投資支援スキーム」への移行が予定されており、2024年度中の導入は従来型FIT制度のラストチャンスとなる可能性あり
- 地域との共生:説明会や周知措置を通じて、地域住民との信頼関係構築が重要
- 委託先管理:施工業者や運用委託先に対する監督義務が強化されており、契約管理が重要
今後の展望
2026年度からは、FIT制度からFIP制度への本格移行が進み、売電価格は市場連動型へと変化します。これにより、太陽光発電は「売る」より「使う」方向へとシフトし、自家消費型の設計や蓄電池との連携がますます重要になります。
参照:
0コメント