2025年度の太陽光発電に関するFIT(固定価格買取制度)は、制度設計の大きな転換期を迎えています。住宅用・事業用ともに売電価格の引き下げが進む一方で、「初期投資支援スキーム」など新たな支援策も導入され、導入判断にはより戦略的な視点が求められます。
1. FIT制度の基本と2025年の変更概要
FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を目的に、発電した電力を一定価格で買い取る仕組みです。2025年度は以下のような変更が加えられています:
- 住宅用(10kW未満)
- 上半期:15円/kWh(10年間固定)
- 下半期以降:初期投資支援スキーム導入
- 1~4年目:24円/kWh
- 5~10年目:8.3円/kWh
- 事業用(10kW以上)
- 屋根設置型:
- 上半期:11.5円/kWh
- 下半期以降:初期投資支援スキーム
- 1~5年目:19円/kWh
- 6~20年目:8.3円/kWh
- 地上設置型:
- 上半期:10円/kWh
- 下半期:9.9円/kWh
- 入札制度の強化
- 250kW以上の設備はFIP制度対象として入札制に移行
- 上限価格は8.90円/kWhから段階的に引き下げ
2. 初期投資支援スキームのポイント
2025年度から導入された「初期投資支援スキーム」は、導入初期に高い売電単価を設定することで、投資回収の早期化を図る制度です。これにより、導入初期の収益性が向上し、家庭用・事業用ともに導入のハードルが下がると期待されています。
3. 自家消費へのシフトと蓄電池の重要性
売電価格の低下に伴い、「売る」から「使う」への転換が進んでいます。特に以下の点が重要です:
- 自家消費率の向上:電力購入費の削減に直結
- 蓄電池との併用:夜間や災害時の電力確保、ピークシフトによる電力料金削減
- EMS(エネルギーマネジメントシステム)との連携:需給調整機能の強化
4. 導入判断のポイント
太陽光発電の導入を検討する際は、以下の点を踏まえることが重要です:
- 高効率パネルの選定と信頼性の高いメーカーの選択
- 初期投資支援スキームの活用による収益性の確保
- 蓄電池・EMSとのセット導入による長期的なメリット
- 地域活用要件や入札制度への対応(事業用)
5. 今後の展望
2026年度以降は、FIP制度への完全移行が予測されており、FIT制度は縮小傾向にあります。太陽光発電は、蓄電池やEMSとの組み合わせによる「自立型エネルギーシステム」としての価値が高まっていくでしょう。
参照:
* 経済産業省 - 再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価を設定します
* エネがえる【最新版】2025年度・2026年度太陽光の売電価格とFIT/FIP制度超解説
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